ここまでの講で「金額は第17講で」と何度も先送りしてきました。その回です。 軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、輸入車。同じように1年乗るだけで、いくらちがうのかを並べます。 そして、その差がどこから生まれるのかを10の要因に分けます。 ここが分かると、車を選ぶ段階で維持費をコントロールできるようになります。
まず全体像です。次の条件をそろえて、1年あたりの金額を並べました。 駐車場代は地域差が大きすぎるので、この表には含めていません。別枠で考えてください。
| 項目 | 軽自動車 | コンパクト | ミニバン | 輸入車 |
|---|---|---|---|---|
| 前提 | 660cc 年8,000km | 1,500cc 年10,000km | 2,000cc 年12,000km | 2,000cc級 年10,000km |
| 自動車税 | 約1.1万円 | 約3.1万円 | 約3.6万円 | 約3.6万円 |
| 重量税(年割) | 約0.3万円 | 約0.8万円 | 約1.6万円 | 約1.6万円 |
| 自賠責(年割) | 約0.9万円 | 約0.9万円 | 約0.9万円 | 約0.9万円 |
| 任意保険 | 5〜10万円 | 6〜12万円 | 7〜14万円 | 10〜20万円 |
| 車検・点検(年割) | 3〜5万円 | 4〜7万円 | 6〜10万円 | 10〜20万円 |
| 燃料代 | 6〜8万円 | 9〜11万円 | 15〜18万円 | 15〜18万円 |
| 消耗品 | 2〜4万円 | 3〜5万円 | 5〜8万円 | 8〜15万円 |
| 突発への備え | 2〜3万円 | 3〜5万円 | 4〜6万円 | 8〜15万円 |
| 合計の目安 | 約25〜40万円 | 約35〜55万円 | 約50〜75万円 | 約70〜120万円 |
| 月あたり | 約2〜3万円 | 約3〜4.5万円 | 約4〜6万円 | 約6〜10万円 |
それでも、この表からはっきり分かることがあります。 軽自動車と輸入車では、1年の維持費が3倍前後ちがうということです。 10年乗れば、その差は数百万円になります。車両価格の差より大きくなることも珍しくありません。
| 項目 | 何で決まるか | 選ぶ段階で効くこと |
|---|---|---|
| 自動車税 | 排気量(軽は定額) | 排気量の小さい車を選べば毎年効く |
| 重量税 | 車の重さ | 重い車は税も燃料代も上がる。二重に効く |
| 自賠責 | 車の区分 | ほとんど差がない。気にしなくてよい |
| 任意保険 | 年齢・等級・車種の区分・補償内容 | 契約前に見積もりを取れば、買う前に分かる |
| 車検・点検 | どこで受けるか・交換部品の量 | 受ける場所で差が出る(第19講) |
| 燃料代 | 走る距離・燃費・燃料の種類 | ハイオク指定かどうかも確認しておく |
| 消耗品 | タイヤの大きさ・部品の価格 | タイヤが大きい車は、4本で数万円ちがう |
| 駐車場 | 住んでいる場所 | 車の選択では変えられない。ただし総額には大きく効く |
このうち、買う前に金額が確定できるのは自動車税と重量税と自賠責だけです。 任意保険は見積もりで分かります。残りは幅があります。だから「備え」を含めて考えるのです。
「選ぶ車によって、メンテナンス費用はどう変わるのか」。この問いに、正面から答えます。 効く順に10個挙げます。
長く乗るつもりの人が知っておくべきことです。 初めて登録してから一定の年数(現在はおおむね13年)を超えると、 自動車税と重量税が上がる仕組みがあります。さらに18年を超えるとまた上がります。
これは環境負荷の大きい古い車への負担を求める考え方から来ています。 賛否はありますが、この講では制度として事実だけ書いておきます。
| 時期 | 起きること | 考えること |
|---|---|---|
| 10〜12年目 | まだ通常の税率。ただし部品の劣化が出始める | 次の車検を通すか、乗り換えるかを考え始める時期 |
| 13年目〜 | 税が上がる。修理の頻度も増えてくる | 年間コストを計算し直す。修理代と税の増加を足して判断 |
| 18年目〜 | さらに税が上がる | それでも乗り続ける価値があるか。愛着も含めて判断 |
ただし、古い車に乗り続けるのが損とは限りません。 車両価格の負担がすでにゼロに近いからです。税と修理代が増えても、新しい車の支払いより小さいことは十分にあります。 第21講「買い替えの考えどき」で、この判断を扱います。
安全に関わる部分は、維持費の削りどころではありません。 削っていいのは、選び方と契約の見直しです。 車を選ぶ段階でサイズを1段階下げるほうが、乗り始めてから節約するより、はるかに大きな効果があります。
いま車を持っている人は、自動車税の納付書を探してみてください。毎年春に届きます。 持っていない人は、家族に見せてもらってください。 そこに書かれた金額が、その車に毎年かかる固定費の入口です。 この1枚から、車のお金の話は始まります。