車のカリキュラム第17講 維持費の全体像
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車のカリキュラム / 第4部 維持編

第17講 維持費の全体像

選ぶ車で、1年にいくら変わるのか

ここまでの講で「金額は第17講で」と何度も先送りしてきました。その回です。 軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、輸入車。同じように1年乗るだけで、いくらちがうのかを並べます。 そして、その差がどこから生まれるのかを10の要因に分けます。 ここが分かると、車を選ぶ段階で維持費をコントロールできるようになります。

014タイプで比べる

まず全体像です。次の条件をそろえて、1年あたりの金額を並べました。 駐車場代は地域差が大きすぎるので、この表には含めていません。別枠で考えてください。

項目軽自動車コンパクトミニバン輸入車
前提660cc
年8,000km
1,500cc
年10,000km
2,000cc
年12,000km
2,000cc級
年10,000km
自動車税約1.1万円約3.1万円約3.6万円約3.6万円
重量税(年割)約0.3万円約0.8万円約1.6万円約1.6万円
自賠責(年割)約0.9万円約0.9万円約0.9万円約0.9万円
任意保険5〜10万円6〜12万円7〜14万円10〜20万円
車検・点検(年割)3〜5万円4〜7万円6〜10万円10〜20万円
燃料代6〜8万円9〜11万円15〜18万円15〜18万円
消耗品2〜4万円3〜5万円5〜8万円8〜15万円
突発への備え2〜3万円3〜5万円4〜6万円8〜15万円
合計の目安約25〜40万円約35〜55万円約50〜75万円約70〜120万円
月あたり約2〜3万円約3〜4.5万円約4〜6万円約6〜10万円

この数字の読み方

  • これは目安の幅です。任意保険は年齢と等級で倍以上変わり、車検は交換部品の量で変わります
  • 駐車場代は含まれていません。都市部で月2万円なら、年24万円が上乗せされます
  • 車両価格の負担(第8講の「買うとき」の年割)も含まれていません。これは維持費だけの表です
  • 税額は執筆時点のもので、登録した年や車の状態によって変わります

それでも、この表からはっきり分かることがあります。 軽自動車と輸入車では、1年の維持費が3倍前後ちがうということです。 10年乗れば、その差は数百万円になります。車両価格の差より大きくなることも珍しくありません。

📊 図解㉖ 年間維持費の比較(A3横1枚)
4タイプの内訳を棒グラフと表で。自分の車の欄を書き込める列も付けました。第8講の年間コスト表とセットで使ってください。

02項目ごとに、何で決まるか

項目何で決まるか選ぶ段階で効くこと
自動車税排気量(軽は定額)排気量の小さい車を選べば毎年効く
重量税車の重さ重い車は税も燃料代も上がる。二重に効く
自賠責車の区分ほとんど差がない。気にしなくてよい
任意保険年齢・等級・車種の区分・補償内容契約前に見積もりを取れば、買う前に分かる
車検・点検どこで受けるか・交換部品の量受ける場所で差が出る(第19講)
燃料代走る距離・燃費・燃料の種類ハイオク指定かどうかも確認しておく
消耗品タイヤの大きさ・部品の価格タイヤが大きい車は、4本で数万円ちがう
駐車場住んでいる場所車の選択では変えられない。ただし総額には大きく効く

このうち、買う前に金額が確定できるのは自動車税と重量税と自賠責だけです。 任意保険は見積もりで分かります。残りは幅があります。だから「備え」を含めて考えるのです。

03維持費を変える10の要因

「選ぶ車によって、メンテナンス費用はどう変わるのか」。この問いに、正面から答えます。 効く順に10個挙げます。

  1. 排気量・・・毎年の自動車税に直結します。軽と2,000cc級では年間2万円以上の差
  2. 車両重量・・・重量税に効き、燃費にも効きます。重い車は二重に不利
  3. タイヤのサイズ・・・大きく扁平なタイヤほど1本の値段が上がります。4本交換で数万円の差
  4. 駆動方式・・・四輪駆動は車重が増え、燃費が落ち、タイヤは4本そろえる必要があります
  5. 動かし方・・・ハイオク指定か、軽油か、電気か。第2講の話がここで金額になります
  6. 年式・・・古くなるほど故障の可能性が上がり、一定の年数を超えると税も上がります
  7. 装備の複雑さ・・・電動の機構が多いほど、故障したときの修理代が上がります
  8. 部品の入手性・・・台数の多い車ほど部品が安く、扱える工場も多い
  9. 車種の人気・・・保険の区分や、修理費の水準に影響します
  10. 使い方・・・走る距離、道の状態、運転のしかた。同じ車でも人によって変わります
📊 図解㉗ 維持費が変わる10の要因(A3横1枚)
10の要因それぞれについて、どこに効くか・どのくらい効くか・選ぶときのコツを整理しました。「メンテナンス費用は車でどう変わるのか」への答えです。

0413年を超えたときの話

長く乗るつもりの人が知っておくべきことです。 初めて登録してから一定の年数(現在はおおむね13年)を超えると、 自動車税と重量税が上がる仕組みがあります。さらに18年を超えるとまた上がります。

これは環境負荷の大きい古い車への負担を求める考え方から来ています。 賛否はありますが、この講では制度として事実だけ書いておきます。

時期起きること考えること
10〜12年目まだ通常の税率。ただし部品の劣化が出始める次の車検を通すか、乗り換えるかを考え始める時期
13年目〜税が上がる。修理の頻度も増えてくる年間コストを計算し直す。修理代と税の増加を足して判断
18年目〜さらに税が上がるそれでも乗り続ける価値があるか。愛着も含めて判断

ただし、古い車に乗り続けるのが損とは限りません。 車両価格の負担がすでにゼロに近いからです。税と修理代が増えても、新しい車の支払いより小さいことは十分にあります。 第21講「買い替えの考えどき」で、この判断を扱います。

05維持費を下げる、現実的な方法

効果が大きい方法

  • 車のサイズを1段階下げる(税・燃料・タイヤに同時に効く)
  • 任意保険を複数社で見積もり、補償を見直す
  • 車検を受ける場所を比べる(第19講)
  • 使わない駐車場の契約を見直す

やってはいけない下げ方

  • 任意保険の補償を必要以下に削る
  • 必要な点検や部品交換を先延ばしにする
  • タイヤの溝がないまま走る
  • 警告灯が点いたまま乗り続ける

安全に関わる部分は、維持費の削りどころではありません。 削っていいのは、選び方と契約の見直しです。 車を選ぶ段階でサイズを1段階下げるほうが、乗り始めてから節約するより、はるかに大きな効果があります。

今日、ひとつだけ

いま車を持っている人は、自動車税の納付書を探してみてください。毎年春に届きます。 持っていない人は、家族に見せてもらってください。 そこに書かれた金額が、その車に毎年かかる固定費の入口です。 この1枚から、車のお金の話は始まります。

出典と注記