ひと昔前は、ガソリンかディーゼルかの二択でした。いまは動かし方だけで6つも7つもあります。 選択肢が増えたのは良いことですが、選び方を知らないと確実に損をします。 しかも、この選択は燃料代だけでなく、税金・整備・数年後の売値まで変えます。 この講で、6つの動かし方を1枚の地図にして整理します。
仕組みを一言ずつ。難しく考えなくて大丈夫です。何で走って、何を補給するかだけの話です。
| 名前 | 仕組みを一言で | 補給するもの |
|---|---|---|
| ガソリン | ガソリンを燃やして走る。いちばん基本の形 | ガソリン |
| ディーゼル | 軽油を燃やして走る。低い回転から力が出る | 軽油 |
| ハイブリッド (HV) | エンジンとモーターの両方で走る。減速のときのエネルギーを電気にして貯める | ガソリンだけ (充電は不要) |
| プラグイン ハイブリッド (PHEV) | ハイブリッドに、外から充電できる機能を足したもの。近距離は電気だけで走れる | ガソリン+充電 (どちらでも可) |
| 電気自動車 (EV) | モーターだけで走る。エンジンがない | 充電だけ |
| 燃料電池車 (FCV) | 水素で発電しながらモーターで走る | 水素 (設備が限られる) |
充電が必要かどうかで、まず2つに分けてください。 ガソリン・ディーゼル・ハイブリッドは、給油だけで済みます。いままでと同じ生活です。 プラグインハイブリッドと電気自動車は、充電できる場所が前提になります。 ここを間違えると、どんなに良い車でも自分には合いません。
カタログの燃費の数字を比べても、実感がわきません。おすすめは、1km走るのにいくらかかるかに直す方法です。 計算はかんたんです。
そのうえで、1か月に走る距離をかけます。年間で見ると、車種による差が数万円単位で出てきます。 ここで大事なのは、カタログの燃費どおりには走らないということ。 実際の数字は、街乗り中心なら7割前後、高速中心ならもう少し良い、くらいの感覚で見ておくと外れにくいです。
燃料の値段も電気の値段も変わります。だから固定の金額ではなく、この「計算のしかた」を覚えてください。 値段が変わっても、同じ式で比べ直せます。金額の具体例は第17講「維持費の全体像」で扱います。
動かし方は、税金にも関係します。ただし、ここは制度が変わりやすいところです。仕組みだけ押さえてください。
| 項目 | 何で決まるか | 動かし方との関係 |
|---|---|---|
| 自動車税 | 排気量(軽自動車は定額) | 電気自動車は排気量がないため、別の区分で扱われる |
| 重量税 | 車の重さ | 電池を積む車は重くなりやすい。ただし減税の対象になることが多い |
| 環境性能に応じた減税 | 燃費や排出の基準 | 電動車ほど優遇されやすいが、基準は年度ごとに変わる |
| 補助金 | 年度ごとの制度 | 電気自動車などが対象になることがある。予算に上限があり、時期によって終わる |
| 13年を超えたとき | 初度登録からの年数 | 自動車税や重量税が上がる仕組みがある。古い車を長く持つときの注意点 |
要確認減税や補助の条件は年度ごとに変わります。買う時点の最新の制度を、販売店か公的な窓口で必ず確認してください。 この講では「どういう仕組みでお金が変わるのか」だけ覚えておけば十分です。
どれが優れているか、という問いに答えはありません。 あなたの使い方に合うのはどれかという問いにだけ、答えがあります。
| こんな使い方 | 合いやすい動かし方 | 理由 |
|---|---|---|
| 街乗りが9割 短い距離をこまめに | ハイブリッド/軽のガソリン | 発進と停止が多いほどハイブリッドが効く。距離が短いなら軽で十分なことも |
| 高速や長距離が多い | ガソリン/ディーゼル | 一定の速度で走り続ける場面では、ハイブリッドの差が縮まる。ディーゼルは高速が得意 |
| 自宅で充電できて 通勤が片道20km程度 | 電気自動車/プラグインハイブリッド | 毎日を電気でまかなえる。燃料代の差がいちばん大きく出る形 |
| 集合住宅で 充電設備がない | ガソリン/ハイブリッド | 充電できないなら、電気自動車の利点は半分以下になる |
| 雪国・山道が多い | 四輪駆動のガソリン/ハイブリッド | 寒さで電池の性能は落ちる。暖房の使用も電気を使う。渋滞での立ち往生も考えておく |
| 年に数回しか 乗らない | そもそも持たない選択も | カーシェアやレンタカーとの比較を先に。終章で扱います |
動かし方ごとに、中古で確認すべき点がちがいます。ここは第10講の予習でもあります。
| 動かし方 | 中古で必ず見るところ |
|---|---|
| ハイブリッド | 駆動用電池の保証が残っているか。交換になった場合の費用の目安も聞いておく |
| 電気自動車 | 電池の劣化具合。車体の状態よりこちらが重要。残量の表示や診断の記録を見せてもらう |
| プラグインハイブリッド | 電池の状態に加えて、前の持ち主が実際に充電して使っていたか |
| ディーゼル | 短距離ばかりの使われ方をしていないか。排気をきれいにする部品の状態 |
| ターボ付き | 過走行の場合、オイル交換の記録が残っているか |
| 共通 | 記録簿(整備の履歴)があるか。これがある車は、たいてい大事にされています |
順番をひとつだけ覚えてください。
この4つに答えれば、候補は自然に絞れます。逆に言うと、この4つを考えずに 「これからは電気自動車だから」とか「ハイブリッドが得だから」で選ぶと、合わない可能性が高いです。
自宅の駐車場に、電源が来ているか見てきてください。外に使えるコンセントがあるか。 分電盤から駐車場まで距離があるか。持ち家か、集合住宅か。 この1点の確認だけで、これから見る車の半分が候補から外れるか、逆に半分が候補に加わります。