車のカリキュラム第13講 大手中古車チェーンは信頼できるのか
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車のカリキュラム / 第3部 買う編

第13講 大手中古車チェーンは
信頼できるのか

会社名で白黒つけない、という考え方

この質問は、車の相談でとても多く聞かれます。正直に答えます。 この講では、特定の会社を「信頼できる」「できない」と断定しません。 理由は2つ。ひとつは、店舗や担当者によって実際に差があるから。 もうひとつは、そういう評価は数年で古くなるからです。 代わりに、どの店でも使える見分け方をお渡しします。そのほうが、10年後も役に立ちます。

01なぜ会社名で判断しないのか

理由を3つ挙げます。

この講のねらい

「あの会社は大丈夫らしい」で選ぶのではなく、 目の前の店と担当者が信頼できるかを、自分で判断できるようになること。 これが目的です。そのための道具として、10項目のチェックリストを用意しました。

022023年に、業界で何があったか

ただし、何も起きていないふりをするのは不誠実です。事実として、業界で大きな出来事がありました。

2023年、大手の中古車販売会社で、保険金の不正な請求や、不適切な修理・整備が行われていたことが公表され、 大きな社会問題になりました。行政による処分や調査が行われ、業界全体でも点検や見直しが進むきっかけになりました。

この出来事を、この講では1社の問題ではなく、業界の構造を知るための教材として扱います。 なぜこういうことが起こりうるのか。それを知っている人は、どの店に行っても自分を守れるからです。

注記この講では特定の企業名を挙げていません。個別の企業に対する評価を示すものではなく、 買う人が自分で判断するための考え方をお伝えするのが目的です。

03なぜそういうことが起きるのか

問題が起きる背景には、業界の構造があります。3つ挙げます。これは特定の会社の話ではなく、仕組みの話です。

構造何が起きうるか買う人の対策
情報の差 車の状態は、売る側のほうが圧倒的に詳しい。買う側は確かめる手段が限られる 書面で残す。第三者に点検してもらう選択肢を持つ
複数の役割が
同じ会社の中にある
販売・修理・保険の手続きを1社で扱う場合、確認する人と実行する人が同じになりやすい 修理の見積もりは別の工場でも取ってみる
数字の圧力 販売の目標が強いと、その場で決めさせようとする力が働きやすい その場で決めない。持ち帰る

この3つのうち、買う人が自分でできる対策は、いちばん右の列です。 どれも特別なことではありません。書面で残す・別でも見積もる・その場で決めない。 この3つを守るだけで、多くの問題は避けられます。

04大きい会社の利点も、正しく認める

悪い面だけを書くのはフェアではありません。大手のチェーンには、はっきりした利点があります。

つまり、大手だから危ない、地域の店だから安心、という単純な話ではありません。 地域の小さな店にも、丁寧な店とそうでない店があります。判断すべきは規模ではなく、目の前の対応です。

05お店の見分け方10項目

ここが、この講の本体です。どの店でも使える10項目を挙げます。

  1. 説明が具体的か。「大丈夫です」ではなく、なぜ大丈夫なのかを根拠つきで説明できるか
  2. 不利なことも言うか。その車の弱点や、注意すべき点を自分から話してくれるか
  3. 書面をくれるか。見積書、保証の内容、点検の記録。口頭だけで済ませようとしないか
  4. 持ち帰らせてくれるか。「今日決めていただければ」と急がせないか
  5. 整備の記録を見せてくれるか。その車がどう扱われてきたかを共有してくれるか
  6. 納車前に何をするか説明できるか。どこを点検し、何を交換するのかが具体的か
  7. 保証の中身を説明できるか。期間・距離・対象の部位・免責の条件まで話せるか
  8. 買ったあとの話をするか。点検や車検をどうするか、自分から話してくれるか
  9. 他店と比べることを嫌がらないか。比較を歓迎する店は、自分の商品に自信がある店です
  10. 質問に嫌な顔をしないか。細かい質問に丁寧に答えるかどうかは、その後の付き合い方の予告です

使い方

10項目のうち、7つ以上がはっきり「はい」なら、その店は信頼できる可能性が高いと考えていいでしょう。 逆に、3番(書面)と4番(持ち帰り)のどちらかが「いいえ」なら、それだけで慎重になる理由になります。 この2つは、良い店なら必ず満たすからです。

📊 図解㉒ お店の見分け方10項目(A3横1枚・チェック式)
印刷して店に持って行けます。10項目それぞれに「なぜこれを見るのか」と「こう言われたら要注意」を添えました。複数の店を回るなら、店ごとに1枚使ってください。

06それでも不安なときの3つの手

やり方
第三者に点検してもらう購入前に、その車を整備工場などで点検してもらう方法があります。費用はかかりますが、大きな買い物の保険料と考えることもできます
複数の店で見積もる同じ条件の車で、2〜3店から見積もりを取る。価格だけでなく、説明のしかたの差が見えます
契約書を持ち帰る署名する前に、契約の書面を持ち帰って読む。急がせる理由がある店かどうかも、ここで分かります

いちばん大事なこと

「今日決めてくれたら」と言われたら、いったん帰る。 本当に良い条件なら、翌日でも良い条件のままです。 翌日には消えてしまう条件なら、それは最初から検討する価値がなかったということです。 この一文だけでも持ち帰ってもらえたら、この講の役目は果たせています。

今日、ひとつだけ

車に限らず、最近した大きめの買い物を思い出してみてください。 そのとき、その場で決めましたか。持ち帰りましたか。 その場で決めさせる仕掛けは、どの業界にもあります。 車の買い方を学ぶことは、買い物そのものを学ぶことでもあります。

出典と注記