車のカリキュラム第8講 予算は「維持費込み」で決める
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車のカリキュラム / 第2部 選ぶ編

第8講 予算は「維持費込み」で決める

車両価格だけ見ると、必ず苦しくなる

車の予算というと、多くの人は「本体でいくらまで」と考えます。ここが最初のつまずきです。 車は、買ったあとも毎年お金がかかり続けます。 1年に車全体でいくら使えるのかから始めると、見える景色が変わります。 この講は、その計算のしかたを渡す回です。

01車のお金は3つに分かれる

いつ何にかかるか特徴
買うとき車両価格、税金や保険などの法定費用、販売店の手数料、オプションいちばん目に見えやすい。ただしこれは全体の一部
持っている間税金、保険、車検、駐車場、燃料、消耗品、突発の修理毎年かかり続ける。ここを見落とすと苦しくなる
手放すとき下取りや買取で戻ってくるお金(マイナスの費用)ここを含めて初めて、本当の負担額が出る

3つを合わせると、こうなります。

本当にかかったお金

(買ったときに払った額)-(手放したときに戻った額)+(持っている間に払った額)= その車にかかった総額

この式を持っている人は、車両価格だけで判断しません。 たとえば同じ200万円の車でも、数年後に100万円で売れる車と50万円にしかならない車では、実質の負担が50万円ちがいます。 第6講の図解⑬で扱った話が、ここにつながります。

02維持費の9項目

持っている間にかかるお金を、もれなく9つに分けます。ここが今日の中心です。

項目いつ払うか金額を左右するもの
1. 自動車税毎年(春)排気量。軽自動車は定額でいちばん安い
2. 重量税車検のとき車の重さ。13年を超えると上がる仕組みがある
3. 自賠責保険車検のとき加入が義務の保険。車種の区分で決まる
4. 任意保険毎年年齢、等級、車種の区分、補償の内容。人によって差が大きい
5. 車検・点検2年ごと(新車の初回は3年後)どこで受けるか、交換する部品の量
6. 駐車場代毎月住んでいる場所。地域差がいちばん大きい項目
7. 燃料・電気代そのつど走る距離、燃費、動かし方(第2講)
8. 消耗品1〜数年ごとタイヤ、オイル、バッテリー、ワイパーなど
9. 突発の修理読めない年式、走行距離、運。ここを見込んでいない人が多い
📊 図解⑯ 年間コスト組み立て表(A3横1枚)
書き込み式です。9項目を年額で埋めて、車両価格の年割を足すと、その車の年間コストと月額換算が出ます。候補が2台あるなら2枚印刷して並べてください。

金額の具体例(軽・コンパクト・ミニバン・輸入車の比較)は、第17講「維持費の全体像」で扱います。 この講では項目をもれなく数えることに集中してください。金額より、抜けをなくすほうが大事です。

03年間コストの出し方

  1. 車両価格を、乗るつもりの年数で割ります。200万円の車に10年乗るなら、年20万円。ここに手放すときの見込み額を引いておくと、さらに正確になります
  2. 維持費9項目を、年額に直して足します。2年ごとの車検は半分にして年額に、毎月の駐車場は12倍にします
  3. 2つを足したものが、その車の年間コストです。12で割れば月額換算になります

この計算をする理由

車両価格が安くても、維持費が高い車があります。逆に、車両価格が高くても維持費が安く、 手放すときに高く売れる車もあります。年間コストで比べて初めて、どちらが安いかが分かります。 候補が2台に絞れたら、この計算を2回やってください。答えが逆転することが、実際にあります。

04「月々いくら」のワナ

販売店で「月々2万円で乗れます」と言われることがあります。この言い方には、注意すべき点が3つあります。

月々の金額は、比べるための数字としてはとても弱いものです。 比べるなら、総支払額と、この講で出した年間コストです。 払い方の仕組みそのものは、第15講「払い方で総額が変わる」で正面から扱います。

05予算の決め方

いくらまで出していいか。これは家庭ごとに事情がちがうので、一律の答えはありません。 ただ、考える順番はあります。

  1. いまの生活で、毎月いくら余っているかを確認する。ここが出発点です
  2. その余りのうち、車に回してもいい額を決める。全部を車に回すと、他のことが何もできなくなります
  3. 年額に直す。月に回せる額 × 12 = 車に使える年間コストの上限です
  4. その上限から、維持費を引きます。残ったものが、車両価格に回せる金額(の年割)です
  5. 年割に、乗るつもりの年数をかけます。これが車両価格の目安になります

この順番でやると、何が起きるか

多くの人が思っていたより、車両価格に回せる金額は小さくなります。 それはがっかりする話ではなく、現実に合った予算が見えたということです。 逆の順番(先に車を決めてから資金を考える)でやると、生活のほうを削ることになります。 家のローンでも同じことが起きます。順番を守ってください。

金額の具体的な目安をお伝えすることはできますが、それが正しいかどうかは家計の状況によります。 大きな借り入れを検討している場合は、金融機関や専門家に相談してください。ここでは考え方だけをお渡ししています。

06突発の出費に備える

9項目のうち、9番目の「突発の修理」だけは予測できません。だから備え方で対応します。

今日、ひとつだけ

いま車を持っている人は、この1年で車に使ったお金を書き出してみてください。 通帳やクレジットカードの明細を見れば、だいたい分かります。 思っていたより多い、と感じる人がほとんどです。 その数字が、次の車を選ぶときのいちばん確かな出発点になります。 まだ持っていない人は、身近な人に「1年でどのくらいかかっている?」と聞いてみてください。

出典と注記