車のカリキュラム第3講 メーカーの地図・日本編三菱
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車のカリキュラム / 第3講 メーカーの地図・日本編

三菱

MITSUBISHI MOTORS 1917 —

日本で最初の量産乗用車を作った流れをくむ会社です。四輪駆動と電動化に強く、砂漠のラリーでも雪の坂道でも走ってきました。同時に、過去に大きな不正を二度起こした会社でもあります。両方を知ったうえで見てください。

01一言でいうと

三菱を一言でいうと、"条件の悪い場所で走ること"に強い会社です。

造船と重工業から生まれた会社で、頑丈さと四輪駆動が背骨です。砂漠を走るパリ・ダカール・ラリーでは何度も優勝し、ランサーエボリューションは世界ラリー選手権で連覇しました。

そして電動化でも早い。2009年に量産の電気自動車を出し、2013年には充電もできるハイブリッドのSUVを世に出しています。停電のときに車から家へ電気を送れる機能は、災害の多い日本で意味のある特徴です。

この会社を見るときの視点

三菱の車は条件が悪い場所ほど強みが出ます。雪道、山道、キャンプ場までの荒れた道、そして停電。街乗りだけなら他社でも十分ですが、そういう場面がある人には代えがきかない選択肢になります。

02歴史・・・日本初の量産乗用車から、電動四駆へ

日本で最初の量産乗用車

1917年、三菱造船が三菱A型を作りました。日本で最初の量産乗用車とされる車です。

戦後は三輪トラックやスクーターを作り、1960年の三菱500で乗用車に戻ってきます。造船と重工業の技術者たちが作った会社という出自は、そのあとの車にも残りました。

独立と、ラリーの時代

1970年、三菱重工業から分かれて三菱自動車工業になりました。1974年にはアフリカの過酷なラリーで優勝し、1982年のパジェロ、1985年からのパリ・ダカール・ラリーで四駆の名前を世界に広げます。

1992年のランサーエボリューションは、世界ラリー選手権で1990年代後半に4年連続の個人王者を出しました。雪と砂利の上での強さは、ここで証明されています。

二度の不正

2000年、リコール(無償の回収・修理)に必要な情報を隠していたことが発覚しました。2004年にも再び問題が明らかになり、販売は大きく落ち込みます。

2016年には燃費試験の方法に不正があったことが公表され、その後、日産の傘下に入りました。技術のある会社が、手続きと誠実さで信頼を失った例です。

電動化という強み

2009年に量産の電気自動車i-MiEVを出し、2013年にはアウトランダーPHEVを発売しました。プラグインハイブリッド(充電もできるハイブリッド)のSUVという分野を、早くから開いた会社です。

いまは東南アジアが大きな市場になっています。国内では車種を絞り、四駆と電動化に集中する形をとっています。

📊 図解① 三菱の歴史(A3横1枚)
1910年代から2020年代まで。技術のレーンが強い時期と、危機のレーンが動く時期が重なっているのが分かります。

03技術の背骨

背骨中身買う人にとっての意味
四輪駆動パジェロやランサーエボリューションで鍛えた駆動力の制御雪道や荒れた道で安定する
プラグインハイブリッド充電もできるハイブリッド。電気だけでも一定の距離を走る近所は電気、遠出はエンジン。給油所も充電器も使える
給電機能車から家電や家へ電気を送れる停電のときに役立つ。防災の備えとして選ぶ人もいる
頑丈さ造船・重工業から続く作りの考え方悪路や過酷な環境での耐久性
ラリーで得た知見砂漠や雪の競技で長く戦ってきた実際の悪条件での信頼につながっている

ここが他社との分かれ目

他社が街乗りの快適さを競うところで、三菱は条件が悪い場所を見てきました。だから街での使い勝手や静かさでは目立ちません。使う場面が合うかどうかで、評価が大きく変わる会社です。

04代表車種の系譜

三菱は車種の数を絞り、四駆と電動化に集中しています。軽自動車は日産と共同で開発したものが中心です。

系統流れいま買うなら
三菱500(1960) → ミニカ(1962) → トッポ → eKワゴン(2001) → eKクロスEV(2022)eKワゴン/eKクロス
小型・セダンコルト(1962) → ギャラン(1969) → ランサー(1973)
四駆・SUVジープの生産(1953) → パジェロ(1982) → RVR → アウトランダー(2005)アウトランダー/RVR
スポーツスタリオン(1982) → GTO(1990) → ランサーエボリューション(1992)
ミニバン・商用デリカ(1968) → デリカスターワゴン → デリカD:5(2007)デリカD:5
電動化i-MiEV(2009) → アウトランダーPHEV(2013) → eKクロスEV(2022)アウトランダーPHEV
ラリー・世界アフリカのラリーで優勝(1974) → パリ・ダカール(1985〜) → 東南アジアが主力
📊 図解② 三菱 車種の系譜(A3横1枚)
横は年代、縦は7つの系統。ラリーで名を上げた時期と、電動化で先に出た時期が、はっきり分かれて見えます。

05どんな人に好まれているか

よく選ばれている人たち

  • アウトドアやキャンプで荒れた道を走る人
  • 雪道が生活圏にある人
  • 停電に備えたい人
  • デリカD:5のように他にない車を求める人

選ばれる理由

  • 四駆の安定感
  • 電気とガソリンの両方が使える安心
  • 車から電気を取り出せる
  • 中古が割安なことがある

06ネット・SNSでの評判

"よく見かける言われ方"を集めた項目です。書き込みは、満足した人より不満を持った人のほうが書く傾向があります。数字と並べて読んでください。観測は2026年8月時点です。

ほめられ方

  • 雪道と悪路に強い
  • アウトランダーPHEVは電気で走れる距離が実用的
  • デリカD:5は他に代わりがない
  • 給電機能が災害時に役立ったという声

辛口の言われ方

  • 販売店が少ない地域がある
  • 車種の選択肢が少ない
  • 過去の不正が忘れられていない
  • 街乗り中心だと車体が大きく重い

この両論の読み方

三菱についての書き込みは、実際に乗っている人の評価と、過去の不正への評価がはっきり分かれます。どちらも事実です。判断のこつは、不正の内容(何が起きて、どう対応されたか)を自分で確かめたうえで、いまの車に試乗して決めること。他人の感情ではなく、事実と自分の感覚で決めてください。

07維持の現実

項目三菱の傾向
部品の入手現行に近い車種は問題なし。生産終了から年数がたった車は確認を
修理・整備販売店の数が少ない地域がある。近くにあるかを買う前に確認してください
プラグインハイブリッド駆動用電池の保証条件を必ず確認。中古では残りの保証期間が価値になる
燃料代近距離を電気でまかなえると、燃料代が大きく下がる
リセールバリューデリカD:5は強い。それ以外は中位で、中古では買い得なことがある

プラグインハイブリッドは、自宅で充電できるかどうかで価値が大きく変わります。集合住宅で充電設備がない場合は、利点の半分が使えないと考えてください。

08こんな人に向く/慎重に考えたい人

向いている人

  • 荒れた道や雪道を走る
  • キャンプや車中泊をする
  • 停電への備えを兼ねたい
  • 自宅で充電できる環境がある

慎重に考えたい人

  • 街乗りだけで距離を走らない
  • 近くに販売店がない
  • 自宅に充電設備を用意できない(プラグインハイブリッドは慎重に)
  • 過去の不正が気になる

今日、ひとつだけ

家の近くで、いちばん条件の悪い道を思い浮かべてください。雪の坂、砂利道、車中泊をしたい場所。そこを走るかどうかで、三菱が候補に入るかどうかが決まります。車選びは、いい道ではなく悪い道から考えると失敗しません。

出典と注記