AI時代のプログラミング学習カリキュラム第21講 語彙が指示を変える
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AI時代のプログラミング学習カリキュラム 第5部 AIへの指示力

第21講 語彙が指示を変える

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この講で解けるようになる困りごと

AIに頼む。思ったものと違うのが返ってくる。言い直す。まだ違う。5往復目あたりで、「自分で直したほうが早かったのでは」と思い始める・・・。

やり取りが長引く原因は、AIの理解力よりも、こちらの指示にあることが多いのです。しかも、直すのに才能は要りません。ここから第5部、AIへの指示力の話です。この講では、指示を"届く形"に組み立てる型を手に入れます。というより・・・実はもう持っているのですが。


仕組み

道案内にたとえます。

「あっちのほうにコンビニありますか」と聞かれた人は、困ります。あっちとはどっちか。歩きか車か。いま何が見えている場所に立っているのか。答えようがないので、聞き返すしかない。
「北に2つ目の信号を右」なら、一発で伝わります。違いは、話し手の語彙です。北、2つ目、信号、右・・・場所を指すための言葉を持っている人の道案内は、短い。

AIへの指示もまったく同じで、往復の回数は語彙の量で決まります。

そして、ここで種明かしをします。この講座の「AIへの質問例」は、第0講からずっと、同じ型で書かれてきました。

自分の状況 → 対象と症状 → 期待する答えの形。

「私は初心者で、~をしています」が状況。「このコードの、この部分が、こうなっている」が対象と症状。「~を、~の順で教えてください」が期待する形。ここまで全部の講の質問例が、この3点セットです。気づいていた人も、気づかずに貼っていた人も、あなたはすでにこの型を何十回も使っています。あとは、自前の指示を組むときに、自分でこの3点を埋められればいい。

3点のうち、初心者が特に抜かしやすいのは、1点目と3点目です。状況を言わないと、AIは相手を玄人だと仮定して、専門用語で返してきます。期待する形を言わないと、長い一般論が返ってきます。どちらも「AIが的外れ」に見えますが、実際に起きているのは、指示の空欄をAIが推測で埋めた結果です。空欄を作らないこと。それが語彙の仕事です。

その語彙は、この講座で増えてきたはずです。キャッシュ、ステータス、ログ、環境変数・・・。言葉を知る前のあなたは「なんか変」としか言えませんでした。いまは「作り置きが残っているかも」と言えます。この差が、往復1回と5回の差になります。


✍️ 手元で確かめる(5分)

過去に自分がAIへ送った指示の中から、うまく伝わらなかったものを1つ探してください。

それを、3点セットで書き直します。自分の状況。対象と症状。期待する答えの形。

書き直したら、元の指示と並べて見比べてください。たいてい、元の指示には3点のうち1つか2つが丸ごと欠けています。どれが欠けやすいかは人によって癖があるので、自分の欠けやすい点を1つ特定できたら、この演習は合格です。次からの指示で、そこだけ意識すればいいのです。


💬 AIへの質問例

そのまま貼って使えます。今回は、指示そのものを鍛える質問です。

  1. 「私は初心者で、AIへの指示の練習をしています。これから送る指示の曖昧な部分・・・あなたが推測で補うことになる箇所を、先に指摘してください。指示:(書き直した指示を貼る)」
  2. 「私のサイトで、更新したはずの画像が古いまま表示されます。作り置き(キャッシュ)が残っているのを疑っていますが、その確認の前に、あなたに追加で伝えるべき情報があれば教えてください」
  3. 「このやり取りを読んで、私の最初の指示がどう書かれていれば1往復で済んだか、書き直した見本を見せてください。(うまくいかなかったやり取りを貼る)」

2つ目は、第1講で覚えた語彙が指示の精度を上げる実例・・・書き方の見本です。症状の部分を自分の状況に差し替えて使ってください。「画像が変わらない」ではなく「キャッシュを疑っている」と言えるだけで、返ってくる答えの的が絞られます。


⚠️ やってはいけないこと

曖昧な指示のまま、大きなものを作らせること。

「いい感じのサイトを作って」で始めて、返ってきたものに「もっとこう・・・」を繰り返す進め方は、小さなものなら遊びとして成立します。危ないのは、大きなものでやることです。曖昧な指示で作られた大作は、途中の判断を全部AIが推測で埋めています。埋まった判断の上に次の階が建ち、直したい箇所は土台に埋まっていて、結局、全部やり直し。5往復どころか、数日が消えます。

大きく作らせる前に、指示を3点セットに整える。整わないうちは、作らせる規模を上げない。規模の上げ方そのものは、第23講で扱います。


📌 まとめ

  • 往復の回数は語彙で決まる。空欄のある指示は、AIが推測で埋める
  • 型は3点セット・・・自分の状況、対象と症状、期待する答えの形。質問例はずっとこの型だった
  • 曖昧なまま大きく作らせない。指示が整うまで、規模を上げない