独自ドメインを取って、サイトとつなぐ設定をした。説明どおりにやったつもりなのに、開いてもつながらない。設定が間違っているのか、それとも待てば直るのか、それすら分からない・・・。
ドメインまわりは、初心者が最初に出会う「正しくやっても、すぐには反映されない」世界です。ここから第4部、公開の自由度を上げる話に入ります。この講のゴールは、ドメインの設定を"読める"ようになること。そして、反映待ちと設定ミスを見分けられるようになることです。
まだ独自ドメインを持っていない人は、この講は読むだけで構いません。演習は、いつかドメインを取ったその日にやれば十分です。急いで取る必要はありません。
電話帳にたとえます。
第1講で、ドメインは店の住所だと言いました。もう半歩だけ正確にすると、ドメインは"人間が覚えやすい名前"であって、コンピューターたちが実際に使う所在地は、IPアドレス(ネット上の住所にあたる数字の列)という別のものです。名前から数字を引くための、世界規模の電話帳・・・それがDNS(ドメイン名と実際の所在地を対応づける仕組み)です。
あなたがドメインの管理画面で触るのは、この電話帳の、自分のページです。1行1行をレコード(対応づけの記録)と呼び、種類がいくつかありますが、読み方はどれも同じです。「この名前で来た人を、どこへ向けるか」。サイトの置き場所へ向ける行もあれば、メールの届け先を指定する行もある。あなたのページには、用件の違う転送指示が数行並んでいる・・・それだけです。
そして、電話帳ならではの性質が1つ。世界中の人が毎回大元の電話帳を引きにくると渋滞するので、あちこちに電話帳の写しが置かれていて、みんな近くの写しを見ています。写しは、決められた時間ごとにしか更新されません。だから、大元を書き換えても、古い写しを見ている人には、しばらく古い転送先が案内されます。設定変更が「反映まで数時間~」と言われるのは、これが理由です。壊れているのではなく、写しの入れ替わりを待っている。第1講の作り置きと同じ構図が、ここにもあるわけです。
つまり、つながらないときの問いは2つに分かれます。設定そのものが間違っているのか。それとも設定は正しく、写しの更新を待っているだけなのか。この見分けは、質問例3でAIに手伝ってもらえます。
独自ドメインを持っている人は、契約している会社の管理画面を開き、DNSの設定一覧(レコード一覧)を表示してください。
やることは、読むだけです。1行ずつ、「この行は、何をどこへ向けているのか」を言葉にしてみる。分からない行があれば、その行を質問例1でAIに聞く。全部の行の用件が言えたら、あなたはもう、自分の電話帳を読める人です。
あわせて、大事な日付を1つ。ドメインの有効期限と、自動更新の設定が生きているかを確認してください。管理画面の、レコード一覧の近くにあるはずです。
持っていない人は、ここまでの仕組みが読めていれば今日は十分です。
そのまま貼って使えます。
用件の分からないレコードを、掃除のつもりで消すこと。
事故の典型はこうです。サイトの引っ越しで設定画面を触ったついでに、「これは何だか分からないな」という行を、不要だと思って削除する。数時間後、サイトは無事なのに、メールが一通も届かなくなる。消した行が、メールの届け先を指定する行だったからです。しかも写しの時間差のせいで、消した直後は何も起きず、忘れた頃に止まるのが、この事故の嫌らしいところです。
電話帳の行は、書き足すより消すほうが危険です。分からない行は、消す前に必ず用件を調べる。そしてもう1つ、同じ重さの事故が期限切れです。更新を忘れて失効したドメインは他人が取得でき、取り返せないことがあります。第1講の「二度と戻らない」は、これのことでした。自動更新の設定と、支払いに使うカードの有効期限。年に一度、この2つを見る日を作ってください。