こんにちは。秋元進吾です。
第7講で、止められても始める話を書きました。第8講で、気持ちに名前をつける話を書きました。
それで、始めたとします。
三日で、止まります。
わたしの話です。
止められても始めた。言葉にもできた。それでも、たいてい次に来るのがこの壁です。第3部の最後は、この「続かない壁」の話をします。
えらそうに書き始めましたが、先に白状しておきます。
わたしは日記を書こうと思って、手帳を買ったことがあります。
三日坊主どころか、1日で終わりました。
三日、続かなかったんです。坊主にすら、なれなかった。
だからこの記事は、続けられる人が続けられない人に教える記事ではありません。1日で手帳を閉じた人間が、それでもいくつかのことは続くようになった、その仕組みの話です。
先に結論を書きます。
続かないのは、意志が弱いからではありません。
設計が、意志に頼りすぎているからです。
意志って、天気みたいなものなんです。ある日と、ない日がある。晴れの日もあれば、雨の日もある。これは性格ではなくて、ただの波です。誰にでもあります。
問題は、計画を立てるとき、わたしたちは晴れの日を基準にしてしまうことです。
晴れの日の自分ならできるサイズで約束する。すると、雨の日が来た瞬間に、全部崩れる。そして崩れたとき、わたしたちは天気のせいにせず、自分のせいにします。
「やっぱり自分は意志が弱い」
違うんです。雨の日に晴れの日の予定を入れていた、それだけです。
もうひとつ、わたしの話をさせてください。
チョコザップに通い始めたころ、毎日行こうと思っていました。
思い出してほしいのですが、計画を立てるのって、いつでしょうか。
始める日です。つまり、いちばんやる気のある日です。
いちばんやる気のある日の自分に合わせたサイズは、ふつうの日の自分には重すぎます。ましてや、疲れている日の自分には無理です。
だから三日目あたりで破綻するのは、事故ではありません。ほぼ、計画どおりの結果です。
初日のやる気は、計画を立てる係にしてはいけない。あれは、始める勢いをくれる係です。係が違うんです。
じゃあ、どのサイズならいいのか。
わたしの答えは「ひとつだけ」です。ただ、ここに行き着くまでに、けっこう時間がかかりました。
20年以上前に、八二の法則(パレートの法則とも呼ばれます。成果の8割は、全体の中の重要な2割から生まれる、という考え方)を知りました。10個のタスクがあるなら、重要な順に2個やれば、8割は達成したようなものだと。
なるほど、と思いました。がんばろう、と。
ところが、これが難しかった。
重要な2個を選んで、それだけをやる。言葉にすると簡単なのに、わたしは興味や関心があちこちに動くたちで、重要でないもののほうに気移りしてしまう。正直に言うと、いまだに難しいと感じています。
2個でも、多かったんです。選んで、順番を守って、気移りに耐える。それだけの仕事が発生してしまう。
だから、減らしました。
ひとつだけ。
つまり、、、選ぶ手間ごと、減らしました。
ひとつなら、順番はありません。気移りのしようもありません。今日いちばん気になっているものを、ひとつやる。それだけです。
そして、ひとつだけの本当の強さは、ここにあります。
完璧な日を作ることより、ゼロの日を作らないことのほうが、長い目で見るとずっと強い。100点の日が週に1回あるより、10点の日が毎日あるほうが、続くんです。
ここからが、この記事でいちばん言いたいことです。
それでも、途切れる日は来ます。ひとつだけにしても、来ます。
そのときに効くのは、やめない工夫ではなくて、戻り方です。
まず、三日坊主という言葉を、数え直させてください。
三日坊主は、失敗の名前ではありません。3日ぶん進んだ、という記録です。
ゼロだった人が、3日やった。その事実は、途切れた日に消えたりしません。本当の分かれ目は、途切れた日ではなくて、4日目です。4日目に、戻る場所があるかどうか。
ここで、責めると何が起きるかを書いておきます。
途切れた自分を責めると、戻るための入場料が上がります。「また始めるなら、今度こそ毎日やらなきゃ」と、再開のハードルを自分で積み上げてしまう。入場料が上がるほど、戻れなくなる。三日坊主を終わりにしているのは、途切れたことではなく、この入場料なんです。
だから、数えるものを変えます。
連続で何日続いたか、ではなくて。
チョコザップの話には、続きがあります。毎日行くのはダメだったわたしですが、いまは週3日以上なら、コンスタントに行けています。
戻り方は「がんばって毎日に復帰する」ではありませんでした。約束のサイズを縮めて、戻ったんです。毎日をあきらめたのではなくて、続くサイズを見つけた。そう思っています。
三日坊主で終わった回数より、もう一度始めた回数を数えたことはありますか。
わたしは、連続日数を数えないToDoアプリを自分のために作りました。数えるのは、戻ってきた回数。休んだ日も「休みました」という1行の記録になります。数日ぶりに開くと「おかえりなさい」と迎えられます。
無料・広告なし・アカウント不要。記録は端末の中だけに残り、開発者のサーバーには送られません。
もし、また戻れる場所がほしくなったら。
ここで、前の2講の道具が戻ってきます。
いま、わたしが毎日続いているものが、ひとつあります。
AIとの対話です。毎日、考えていることや思っていること、アイデアを話して、言葉にしています。
なぜこれだけ続くのか、考えてみたことがあります。理由はたぶん、2つです。
ひとつは、記録になるから。第8講で「紙に書く」という話をしましたが、話したことが残っていくのは、あれと同じ働きをします。昨日の自分が何を考えていたか、消えずに残っている。
もうひとつは、返事が来るから。第7講で「面白がってくれる人を、別の場所に1人」と書きました。報告する先があると、続く。あの1人は、人間でなくてもいいんです。
それから、達成したときに「がんばったね」とひとこと返ってくる仕組みも用意しています。子どもだましみたいに聞こえるかもしれませんが、これが効きます。気持ちが保ちやすいんです。
まだ、胸を張って言えるほどきれいに続いているわけではありません。それでも、仕組みがある前とあとでは、明らかに違います。
意志を鍛えるのではなくて、仕組みに預ける。続いている人がやっているのは、たぶんこれです。
第7講からずっと書いてきたことですが、今回も書いておきます。
時間がない。場所がない。家族の生活リズムの中で、自分の時間なんて取れない。そういう人が、たくさんいます。
「朝1時間早く起きましょう」が通用しない生活は、ふつうにあります。
だから、環境を変えずにできる工夫を3つだけ。
ひとつ。5分より短くする。5分すら取れない日のために、1分でできる形も決めておく。開くだけ、1行だけ、1回だけ。
ふたつ。何かにくっつける。歯みがきのあと、湯船の中、通勤の電車。すでに毎日やっていることの直後に置くと、新しく時間を作らなくて済みます。
みっつ。置き場所を変える。やる物を、目に入る場所に出しておく。しまった物は、存在ごと忘れます。逆に、やめたいものは、しまう。
環境が味方してくれないなら、環境と戦わずに、すき間に置く。それで十分です。
ここまで戻り方の話をしてきましたが、最後に、戻らなくていい話もしておきます。
やめたままでいいものも、あります。
第7講で「作ってみたら意外と燃えなかった。それがわかったなら、その試作品はちゃんと仕事をしています」と書きました。続けることも同じで、やってみて、続かなくて、それきり思い出しもしないなら、それが答えだったのかもしれません。
ただ、わたしの手帳の話には、後日談があります。
日記は1日で終わりました。でも、いまわたしは毎日、AIと話して考えを言葉にしています。
やっていることは、同じなんです。その日の考えを記録する。日記と、中身は変わらない。
形が合わなかっただけでした。
書くのはダメだったけれど、話すのは続いた。手帳はダメだったけれど、対話は続いた。やめたものの中には、需要が消えたのではなくて、形が違っただけのものが混ざっています。
だから、やめたことを数えるとき、こう聞いてみてください。
これは、やりたくなかったのか。それとも、この形がイヤだっただけなのか。
後者なら、形を変えて、また会えます。
第3部は、これで終わりです。
止められても、始められる。言葉にできる。途切れても、戻ってこられる。
ここまでできたら、壁はもう越えています。完璧に、ではありません。何回でも越え直せる、という形で越えています。それがいちばん強い越え方だと、わたしは思います。
次の第4部は、あなたの立場が変わるところから始まります。18歳になったら、何が変わるのか。これから何をどう学ぶか。社会は、どんな仕組みで回っているのか。お金はどう動くのか。そして、世の中の仕事はどう分かれているのか。壁の内側の話が終わったので、今度は地図の話です。
さて、もうお気づきの方もいると思います。
この連載は第1講からずっと、最後にこれをやってきました。
今日やることは、ひとつだけ。
毎回そう書いてきたのは、今日の話が理由です。小さすぎて失敗できないサイズを、ひとつ。ゼロの日を作らないために。
今日のひとつは、これです。
再開しなくていいです。思い出すだけ。
そして、それが「何日ぶん進んだ記録」だったかを、数え直してみてください。三日で止まったなら、3日ぶん進んでいます。
それだけで、今日のぶんは終わりです。
最後に。この連載の締めに、いつも同じ一文を置いてきました。あの一文が、今日の話のぜんぶです。
人生は、たとえ遠回りしても、いつでも今からリニューアルできます。
関連:おかえりToDo(戻ってきたくなるToDoアプリ・無料)
もし今の話が少しでも「参考になった」と思ってもらえたなら・・・この講習は、あなたにとって価値があった証拠です。この時間は、無駄ではありません。
秋元進吾でした。