健康診断で血圧の数値が気になりはじめた。
薬に頼る前に、できることはないだろうか。
そう感じている方に、一つの選択肢としてご紹介したいのが「トマトを育てる」という方法です。
「食べる」ではなく「育てる」。
その理由は、この記事を最後まで読んでいただくと見えてきます。
2023年、スペインのバルセロナ大学が主導する研究チームが、医学雑誌『European Journal of Preventive Cardiology』に一つの論文を発表しました。
研究対象は、心血管リスクの高い55〜80歳の男女、約7,000人(正確には7,056人)。追跡期間は3年間。地中海食の効果を検証する大規模試験「PREDIMED(プレディメッド)試験」の一環として行われたものです。
研究チームは、参加者の1日あたりのトマト摂取量を4つのグループに分けて分析しました。
その結果、1日110グラム以上(大きめのトマト1個分に相当)を食べていたグループは、最も摂取量が少なかったグループと比べて、高血圧の発症リスクが36%低い「関連」が報告されました。
ただし、これは観察研究にもとづく解析であり、「トマトを食べれば血圧が下がる」という因果関係を証明したものではありません。対象も主にスペインの高心血管リスクの高齢者で、日本のすべての人にそのまま当てはまるわけではありません。
軽度の高血圧(ステージ1)の人でも、トマト摂取量が多いグループでは血圧値が低めだったという関連が報告されています。
「たかがトマト」と思われるかもしれません。もちろん、薬の効果と単純に比べられる数字ではありません。それでも、毎日の食習慣との関係として見ると、無視できない数字ではあります。
なぜトマトが、ここまで血圧と関係するのでしょうか。鍵を握るのは、トマトに含まれる3つの成分です。
GABA(ガンマ-アミノ酪酸)は、アミノ酸の一種で、神経の興奮を抑えるはたらきがあります。
消費者庁に届け出されている機能性表示食品では、「1日に12.3〜20mg程度のGABA摂取で、血圧が高めの方の血圧を下げる機能が報告されている」とされており、現在国内で多数のGABA関連製品が認可されています。
GABAが血圧を下げるメカニズムは、ざっくり次のように説明されます。
トマト100gには、およそ50〜60mgのGABAが含まれているとされ、野菜の中ではトップクラスのGABA供給源です。
リコピンは、トマトの赤い色のもとになっている色素成分です。ビタミンEの100倍以上ともいわれる強い抗酸化作用を持ち、血管の老化を防ぐはたらきが期待されています。
ここで一つ、実は知らない人が多い大事な事実があります。
リコピンは「生のトマトより、加熱したトマトの方が吸収率が高い」のです。
2017年に名古屋大学とカゴメが共同で発表した研究によると、生のトマトでは吸収されやすい「シス体リコピン」が全体の8.1%しかありません。これがトマトソースに加工されると、32.5%(約4倍)にまで増えることが実証されています。
さらにオリーブオイルなどの油と一緒に摂ると、脂溶性の性質を持つリコピンは小腸での吸収効率がもう一段上がります。
つまり、リコピン目当てなら「生サラダ」より「トマトソース」や「炒め物」のほうが、ずっと効率的なのです。
カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排出するはたらきを持つミネラルです。日本人は塩分摂取量が多いため、カリウム不足は高血圧の隠れた要因とされています。
トマト1個(約200g)には、およそ400〜500mgのカリウムが含まれており、これは1日の推奨摂取量(成人男性3,000mg・女性2,600mg)の約15〜17%に相当します。
GABAをより効率的に摂りたい人向けに、近年注目されているのが「ハイギャバトマト」です。
これは、ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)を使ってGABA含有量を高めた品種で、サナテックライフサイエンス社が開発した「シシリアンルージュ ハイギャバ」が代表例です。
通常のシシリアンルージュのGABA含有量が約28mg/100gなのに対して、ハイギャバ品種は約113mg/100g。約4〜5倍のGABAを含むことが報告されています(同社2021年4月時点の自社分析値)。
2025年9月にテレビ朝日系列で放送された『林修の今知りたいでしょ!』では、高血圧学の専門家である市原淳弘医師の監修のもと、出演者がハイギャバトマトを1日3粒・10日間摂取する検証が行われました。
24時間平均血圧が142/89 → 132/80に変化したケースが紹介されています(個人差があり、医学的エビデンスではなく検証企画の一例です)。
ただし、ハイギャバトマトは現状、スーパーで気軽に買える商品ではありません。取扱店舗が限られ、価格も通常品より高めです。
そこで考えたいのが、次の選択肢です。
「市販のトマトを買って食べる」のではなく、「自分で育てて食べる」ことには、健康面でも経済面でも明確なメリットがあります。
スーパーで売られているトマトの多くは、流通や日持ちの都合で、完熟する前に収穫されます。トマトは熟すにつれて赤みが増し、リコピンなどの成分も変化していきます。
家庭菜園なら、ヘタの付け根まで赤くなるまで自分で見届けて収穫できます。青いうちに収穫されたものとはひと味違う、完熟ならではの味わいを楽しめるのも家庭菜園の魅力です。
血圧が気になる方の多くは、健康全般への意識が高い傾向にあります。自分で育てれば、いつ・何を・どれだけ使ったかを完全にコントロールできます。無農薬・減農薬の選択肢も自由です。
土に触れたり植物の世話をしたりする園芸活動には、ストレス軽減や自律神経反応へのよい影響が研究で報告されています。もちろん、トマトを育てれば血圧が下がる、という話ではありません。
土いじりは、軽く体を動かす機会にもなります。朝の水やりで朝日を浴び、夕方に葉の様子を見る。こうした時間は、血圧の数値に追われる毎日から少し距離を置くきっかけになります。
さらに、トマトにナスやきゅうり、玉ねぎといった野菜を組み合わせて育てると、相乗的な健康効果が期待できる組み合わせがあるとも言われています。このあたりは、機会があればまた別の記事で深く掘り下げてみたいテーマです。
「育ててみたい」と思ったあなたへ。
実は、初心者の方が迷わず安心してトマト栽培を始められるよう、完全ガイドサイトを別途用意しています。
このガイドサイトでは、以下の内容を6章構成で詳しく解説しています。
畑やベランダで作業しながら確認できる構成になっています。
初心者の方には、ミニトマトの「千果(ちか)」から始めるのが個人的なおすすめです。病気に強く、糖度も高く、たくさん収穫できる「迷ったらこれ」の品種です。
血圧の数値とにらめっこしながら、何かを我慢する日々。それも一つの選択肢ですが、もう一つ、こんな選択肢もあります。
ベランダに、プランターを一つ。予算は3,000円から始められます。苗を1本植えて、毎日水やりをして、初夏になれば、自分の手で育てた完熟トマトを収穫する。
その一口に含まれているのは、GABAとリコピンとカリウム、そして「自分の健康を、自分で育てた」という小さな自信です。
血圧が気になりだした、今が始め時です。
本記事は、複数の情報源を確認し、ファクトチェックを行った上で公開しています。 ただし、本記事は健康情報の紹介を目的としたものであり、 医療アドバイスではありません。健康上の判断は、必ず医師にご相談ください。
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最終確認日:2026-05-20